今更特別書くこともない話題ではあるが、わたしの一生のテーマではある。
個人的なことで恐縮だが、私は本を読むのは好きだが、読書家ではない。書物はある程度あり、書庫もあり図書室もあるが、書物の収集家ではない。書物の内容も決まっているわけではなく、いわゆる特殊な専門分野があるわけでもない。これはどうしても読まなければならないとか、これだけは読んでおくべきだと言った特別な書物があるわけではない。もちろん、今話題になっている事に関する本、今までに読んで面白かった著者の新刊などをまず読むことはあるが、読む本にそれほどのこだわりがあるわけではない。言ってみれば行き当たりばったりに読んでいるだけである。それでも、こんなに面白い本あるのだと嬉しくなる書物に出会うこともある。いずれにしても中途半端、世間で言う物にならない生活を送ってきたのだから仕方がない。今更それを変えることはできそうにもないが、変えようとも思わない。変えようと思っても変わらないし、あるきっかけによって、瞬時に変化してしまうこともある。

まず、私は本を読むのが遅い。子供の頃からである。記憶力や認識能力がないのだろうか。内容にもよるだろうが、例えば岩波新書一冊あっという間に読んでしまう友人がいた。あまりにも早いのでその本の内容を聞いてみたことがある。彼はかなり隅々まで読み内容も理解して話してくれた。やはり読むのが私の倍以上早いのだ。その時、自分の本の読み方になにか欠陥があるのか、と真剣に考えた記憶がある。人間に様々な能力の差があることはわかっていたが、自分が大切にしている領域だけに、その打撃は大きかった。早く読もうと試みたこともあったが、その本を読んだ結果がついてこなかったし、楽しくもなかった。それ以来早く読もうとすることは止めにしている。これもまた、記憶力の問題だろうが、読んだ本の内容を忘れてしまっていることが多い。一度読んで重要なところに赤線が引いてあるのに、読んだ記憶が無いのである。しかし、また読み返しているうちに、こんな内容だったと思い出すことはある。こんな内容だったと感じて嬉しくなることもある。

最近強く感ずることだが、何をするにも自分の意志や好みでするのではなく、「たまたま」(=偶々=偶然)そうしたし、結果的にそうなってしまった、というのが最高に理に適ったものではないか、と思うようになった。
偶々(=偶然)が一番だと感じている。人間、目指した目的には思うように行き着かない。努力が足りないと言われればそれまでだが、努力できる人は偶々努力ができた人であって、すべての人に出来るわけではない。

One Thought on “読書について

  1. 宗像 眞次郎 on 2018年6月17日 at 3:29 PM said:

    速く読む、ということだけに関して言えば、わたしは役所じゃないけれどいちおう公的機関にいて鍛えられました。毎日毎日洪水のように押し寄せる大量の「書類」の内容を短時間で「把握」(「理解」とは微妙に違うニュアンス)して、自分の抱えている課題に生かしていく、これはそうとう難儀でしたが。
    ただまあこれも、ちょっとした「コツ」があるといえばあるのですが。
    「自分の意志や好みでするのではなく、「たまたま」(=偶々=偶然)そうしたし、結果的にそうなってしまった、というのが最高に理に適ったもの」とのご指摘、興味深いな、と思いました。
    いろんな考えがあって、ひとは強く願って、それができると信じて愚直に取り組めばきっとできる、というひともいます。でもそれは、それができたひとの意見であって、同じようにやってもできなかったひともきっとまわりに大勢いる。
    向き不向き、ということもある。
    どんなに努力してもものにならない、ということも多い。
    理にかなった努力と才能と偶然の組み合わせで、うまくいくひとはいくし、うまくいかないひとはいかない。
    だから、「うまくいかなかった」ひとのことを、努力が足りない、などというのは愚かなことだと思います。
    だからといって、夢も希望も持たない、仙人のように霞を食むように生きる、それで満足だ、などというのも、一度限りの人生を無駄に過ごす、というかどぶに捨てるようなものだとも思います。
    平凡な結論ですが、わたしは、目いっぱい頑張ったけれど「たまたま」ものになりませんでした、というのもなかなかいいんじゃないか、と思います。
    そういうひとのほうが、成功したひとたちより多くの友を得られるのではないかな、いっぽう成功者は羨ましがられるだけで友達になりたい、と思われる度合いは低いのではないか・・・
    そう思うことで人生をよりゆとりをもって楽しめる気がいたします。

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