裏を見せ表を見せて散る紅葉 良寛
どこの言葉にも、前後、左右、上下、内外、遠近、長短、あるいは善悪、美醜、貧富、聖俗、のように相反する事態が対になった言葉がよく使われる。数えればきりがないほどある。それらの言葉は確かによく対の形で表現され、ことさら考えることもなく無意識的によく使うが、その関係にはそれぞれ微妙なところがある。その中に「表裏」という対の言葉があるが、私はこの「表裏」という言葉、あるいはその言葉が指し示す事態に特殊に拘ってきたような気がする。そのきっかけになったのが、先に挙げた良寛の辞世の句である。
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