「古典」という言葉はよく使われる言葉だが、実はそれ自体としては意味を持たないあいまいな言葉なのである。ある限定した領域、あるいは地域、つまり、「・・・の古典」とか「・・・における古典」とかいう何らかの限定がついて初めて意味を持ってくる言葉だからである。「源氏物語は日本文学における古典である」というような文脈で使われるのである。しかし普通私たちは、あまり厳密にではなく、漠然と「古典」ないしは「古典的」という言葉を使っている。「現代ではなく、時間的に過去のもので、その分野では規範的で優れたもの」というぐらいの意味で使っているのである。 Read More →