私が小学校6年生の時だったと思う。私の記憶はいつも不確かだが、夏休みが終わったころだった。先生が、ある一人の生徒を皆の前で紹介した。女の子だった。先生は、おそらく、私たち生徒に名前を言ったはずだが、その子の名前は全く記憶にない。ただその子が小さな赤ちゃんを背負っていたことは、鮮明に覚えている。いわゆる「お子守さん」だったのである。その子はいつも教室の後ろ、しかも後ろのガラスがはめてある引き戸の前に立っていた。その引き戸を開けると廊下になる。学習机も椅子もあったはずだが、その子はいつも立っていた記憶しかない。座っているところを見たことがないのである。おそらく身体をいつも動かし、子供をあやしていたのだろうと思う。その子が背負っていた子供が泣いたという記憶もない。泣きかけたら教室から廊下に出ていったのだろう。そういう、そのような約束だったのかも知れない。 Read More →

現今、昔からある、いわゆるカメラでなくても、携帯でも、スマホでもいつでも、どこでも誰でも写真が撮れるようになった。デジタル化現象があらゆる部門に浸透し、写真もデジタル化されて気軽に誰でも撮れるようになって、その意味が変化したように思う。それ以上に、それに後になってからでも修正したり合成したりすることが自由にできるようになってしまったことが、問題のように思える。 Read More →