言葉と物、思考と感性は密接に結びついている。一方が失われば他方もそれに続いて消えていく。切り離せないのだ。例えば、梅雨に降る雨は「しとしと」降る。現今の雨は豪雨に近く、局所的に降る。庭石にしとしとと長く降ることはなくなってきた。それに連れて「しとしとと降る雨」という表現も薄れていく。それに歴史的に長く語られてきた言葉にはそれなりの品格が備わっている。最近言葉がその品格を失い、使うのもためらうような言葉が流布するようになってきている。私たちの意識が社会の動向に翻弄されてしまっているのだ。 Read More →