知らない町と、すでに自分が住んでいる町との違いは何だろうか。その違いはいろいろに考えられ、さまざまに表現することが出来る。いわゆる精通している町だったら、まず自分が今いる場所が分かるはずである。今自分は橋の東のふもとにいるから、橋を渡ってまっすぐ行くと少し大き目の十字路に出る。そこを左折したすぐのところにバス停がある、そこが自分が家に帰るバスに乗るところだ、五分くらいで着く、早足で行けば4分ほどで行ける。しかも普通はことさら自分が歩いている場所を確かめることなく無意識的に何も考えずに、バス亭にたどりつくことが出来る。というよりは知らないうちにバス停の前に立っている。時には知った顔の人がそこにいる。何の変哲も無い帰路の道である。何も考えることなく家に着く。知らない町だとそうは行かない。まず自分の立っている場所がどこかを、地図で調べるか、通りがかりの人に聞かなければならない。それ以上に心配なのは自分が行かなければならない場所がどこにあるのか、どのくらい時間がかかるか、交通機関が必要なのか、歩いていけるのか、と言ったことが問題になる。だから前もって調べる必要があるのである。そうしないと目的地にたどり着けないことを、経験的に知っているからである。行ったことがないところに旅行する場合、地図やガイドブックが必要なのはそのためである。
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