墓碑または墓標は人間が存在したことの証である。それは、時代・民族・文化などの差異を超え世界の至る所に見られる現象であり、人間存在そのものの刻印である。生あるものはいつか死ぬ。その事実を自覚すること、それが人間の絶対条件である。しかしそこには不思議な条件が加わる。死ぬのは自分だがそれを葬るのは自己以外の他者が行う行為である、ということだ。ということは、生あるものは死ぬ、という条件以上に人間的な行為は死者を「葬る」という行為なのである。墓碑や墓標を作るのはその人間的な行為の結果である。 Read More →