「時代」を読むのは難しい。さまざまな事象が交差し、ある出来事の事実性を確証するのが難しいからである。しかし、生活を一変さようにせるような大事件は起こるものだ。今回のの東日本大震災と福島原発事故はそのような事件に相当する。ところが、そのような大事件は社会の仕組みさえ断絶させるが、他方、実の世相(=生活の諸相)は変わらずに連続する面をもっている。そこにこそ、人間の喜びや悲しみの原点があり、その表現だからである。
これから「大正時代」という時代を一つの事例として、歴史における「断絶と連続」について考えていきたい。今回は特に、政治・経済からというよりは、生活・世相という観点から、それを再現する形で考えてみたい。次の3回に分けて、当時の音楽の歌唱と演奏、文学(小説や詩歌)の朗読、絵画や写真による映像で綴ってみたい。
(1)「大正ロマンの世界」
(2)「大正デモクラシーの明暗」
(3)「大正から昭和へ」

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